彼女はタイ出身で20代の後半にアメリカに来て、タイ人の夫とは離婚して、それでもアメリカに残り、働いて働いて(フルタイムの仕事のほかにアルバイトをして)息子さんを大学まで出して、今年はそろそろ退職しようと決めた矢先に癌が発覚。6ヶ月であっけなく亡くなってしまいました。2月28日に職場から、カードとプレゼントをみんなでまとめて、箱詰めにして贈ろうと計画していて、私もカードに手紙を添えて用意していました。その日、朝から会議だったので、職場につくとすぐに受付の子に「これ、パッケージに入れてね」とだけお願いして、会議に行きました。休み時間私のボスが私のところに来て「実はねPomは週末に亡くなったのよ」と。
Pomとはお互いアジア人ということもあって、暗黙のうちに通じるものも感じていました。殿が生まれたときにもとっても喜んでくれて、お祝いのプレゼントをくれたり、その後も「写真ちょうだいね」と何度か言ってくれて、殿の写真を渡すと、職場の自分のオフィスの壁に貼ってくれたりしていたのです。
タイ料理のお店に行くときにはメニューを見てもらって、お勧めを教えてもらったりしたこともありました。
お葬式は、私の中でひとつ幕を下ろす必要があるという意味もあるので、行って来ました。タイの仏教式でした。
息子さんは、ロンドンで大手の銀行マンとして勤めていましたが、お母さんが末期癌ということでアメリカに戻ってきていて、最後一緒にいられたのは、幸いでした。彼が、みんなの前で少し話してくれたのですが、本当に立派な男性に育っていて、Pomが誇りに思っていた大好きな息子さんに会うことができて、それだけで胸がいっぱいになりました。彼のなかにお母さんのPomが生きているという感覚を実感しました。
悲しいお別れだけれど、でも私たちの中に残してくれた思い出をありがとう。天国で見守ってくださいという気持ちです。
そして、3月、春になるから少し明るい気持ちになれるかなと思っていたら、東北の地震。
言葉が出ないほどの惨事ですね。心が張り裂けそうです。
何人ものアメリカ人から日本の家族は大丈夫?とメールをもらいました。いろいろなところで募金をしてくれています。
報道も大々的なので、本当にみんな心配してくれているんですね。何かできないか、と思う人たちが世界中にいるのだということ、それはとてもうれしいことです。
私には何ができるのかな、どのようにして寄付をしたらきちんと効率的に使ってもらえるのだろうかと考えています。
混乱の中、人を責めたり、文句を言ったりということも当然でてきてしまう状況だとは思いますが、それぞれがあたたかい気持ちで前向きに進めるエネルギーがどこからか与えられますように、どん底にいる方たちも、希望の光が見えてくる日がかならずくるのだと信じる気持ちが与えられるようにとお祈りしています。
今回の震災、ほんとうにつらいよね。自分の家族や友達が無事でも、あれほどたくさんの日本人が苦しんでいると、すごく胸の中が波立つのをかんじるわ。残念ながらベルギーでは「活動」してくれている人たち以外はまったく声をかけてきません〜。8年住んでも友達ができないのは、このベルギーの人達のシャイさが問題だと再認識したわ。どう考えても心配してくれてるんだけど、声をかける勇気は出ない、というかんじ。(笑)
震災、原発関係の報道の量はものすごいから、普通にしている人たちで、まったく影響を受けていない人でも具合がわるくなるぐらいだと思います。自分で考えて入ってくる情報量を調整しないと、元気なひとも精神的に追い込まれると思います。日本の人たちはどこかで、こういうときだから元気な人も元気にしていはいけない、一緒に落ち込もう、という方向に行きたがっているような気もします。
ヨーロッパの人たちはアメリカ人のあけっぴろげなところに比べたら内向的なんではないか、と思います。感情を人前で出すことに対する意識とか微妙にちがうかな、と。でもアメリカでも、知り合いはたくさんいても本当の友達となると、それはやっぱりなかなか難しくなってくるのではないか、と思うけれど。回りの日本の人たちみていても、やっぱり結局のところは日本人で固まっているというのが本当のところだから。それはそれでごく自然なんだろうなあ、とは思うのだけどね。